前回の後半戦です。
まだ見ていない方はこちらからどうぞ。
さて、前回の問題点について現実的に考えてみたいと思います。
前回の問題解決アプローチを復習します。
1.記憶のデータ化
記憶を司る脳の「海馬」で流れる神経パルス信号から記憶をなんらかの方法でデジタル化、データとして変換
2.記憶の抽出
デジタルデータにした記憶をなんらかの方法で取り出す(シュタインズ・ゲートでは3.24TB)
3.記憶のデジタルデータ圧縮
記憶であるデジタルデータを転送できるレベルの大きさまでなんらかの方法で圧縮する。
4.過去の自分の座標特定
過去の自分へ送る自分の「海馬」の座標をなんらかの方法で特定する。
5.過去へ記憶のデジタルデータ転送
特定した座標へなんらかの方法で圧縮した記憶データを転送する。
6.過去で記憶のデジタルデータ受信
転送された記憶データをなんらかの方法で受信機によって受信する。
7.記憶のデジタルデータを解凍
圧縮されている記憶のデジタルデータをなんらかの方法で解凍する。
8.記憶のデジタルデータをインストール
解凍された記憶のデジタルデータを自分の「海馬」へなんらかの方法でインストールする。
それでは解決手法を検討していきましょう。
記憶のデータ化、記憶の抽出の問題解決方法検討
参考文献:*1
1.記憶のデータ化
2.記憶の抽出
これらについては現代の技術で実はもうすぐ可能かもしれません。
まず、約10年前から既に記憶を保存する神経細胞の仕組みは明らかになっています。
以下引用―――
ラットを使った研究で、記憶関連たんぱく質が神経細胞のスイッチ素子へ正しく配達されるメカニズムを突き止め、記憶が正確に安定して保存される仕組みを発見しました。
*2
そして、他人の記憶を移植することも将来的に可能です。
以下引用―――
AとBという記憶があって、それを構成する神経細胞の違いを明確にする。そうやって、あらゆる記憶について構成要素の特定を繰り返していけば、決まった神経細胞の組み合わせによって記憶を復元することが可能になるはずです。
*3
トータル・リコールのような世界ですね。
ちなみに、シュタインズ・ゲート・ゼロで椎名かがりがレスキネン教授によって施されたとされる、特定の記憶を一部消去するという方法は既に存在しています。
以下引用―――
マウスの脳から特定の記憶だけを消去する実験は既に成功しています。また、異なる記憶を融合して、人工的に新しい記憶を作り出すことも可能です。
*4
そして肝心の記憶のデジタルデータ化を行う方法についてもMRIを使った方法で保存が可能ということが分かってきています。
以下引用―――
Millennium Magnetic Technologies(MMT)社の創立者であるドナルド・マークス氏は、神経工学の研究中に、脳の活動パターンを記録すれば人間の思考や記憶も記録できる可能性があることを発見しました。その結果、彼は特許を取得した記憶認識技術によって、世界初の記憶保存ビジネスを開始したのです。
*5
人の記憶を記録するには、MRIで脳内をスキャンしながら、およそ40種類の質問をして、その回答による様々なパルスの変化を観測していきます。
質問と質問の間には10秒程度の間隔が必要な為、この記録作業には10分以上の時間がかかるそうです。
得られた分析結果は、MMT社のデータサーバに保存されます。こうして、自分の記憶を記録として恒久的に残すことが可能となるのです。
まさしくトータルリコールのようなビジネスチャンスがあるこのサービスですが、これをデジタルデータ化が可能ということであれば、これをタイムトラベルに応用することができますね。
記憶のデジタルデータ圧縮の問題解決方法検討
3.記憶のデジタルデータ圧縮
については、デジタルデータとして保存することが出来れば、あとはそれに見合った圧縮方法によって簡単に圧縮は可能です。
但し、圧縮する大きさには限界があります。
小生のしょぼい知識からすると、大容量データに対して効果的に圧縮率を高く出来る方法は7-zipによる「7z」だと考えます。笑
圧縮率は実際に行った方のサイトを参考にすると、
2.71MB(圧縮元)⇒1.19MBとなりました。
圧縮率は43.9%となります。
ただし、数TBもあるような大容量データを圧縮することは出来ません。
シュタインズ・ゲートでは、電気信号のデータをミニブラックホールを用いて圧縮、36byteまで圧縮し、転送しています。
これはCERNが現在研究中のミニブラックホールを同様に用いて圧縮してみたら、もしかしたら実現可能かも分かりません。
過去の自分の座標特定の問題解決方法検討
4.過去の自分の座標特定
については、前回説明した自分の記憶のデジタルデータを受けとるための「受信機」を予め過去に構築しておけば問題ないと考えます。
その為に受信機を作る必要がありますが、一体それをどのように作るのか…
距離の観点で言えば、たとえば米航空宇宙局(NASA)の火星探査機から送られているデータの大半は火星周回軌道上の衛星を中継して地球へ届けられます。
また、探査機に搭載したマイクロ波アンテナからも直接送信することが可能です。
火星から送信された信号は、光速で進んで地球に届くまでに10分以上かかります。
こうして送られた信号を直径70メートルほどある超高感度・低ノイズのパラボラアンテナで受信しています。
宇宙からのメッセージを受け取ろうとする試みが過去ずっと行われていますが、これらを受け取る信号の受信方法も、大雑把にいうと家庭用の衛星放送と同じです。
衛星からの電波を集めるパラボラアンテナがあり、電波を電気信号に変える受信機、そして電気信号を分析して映像に変換するチューナーが備わっています。
つまり、記憶の圧縮したデジタルデータを電波・又は電気信号に切り替えることが出来れば、それを受け取るパラボラアンテナのような装置をその周囲に置いとけば問題有りません。
よって「4」の問題は「1」「2」「3」を解決出来れば問題ありません。(解決?)
過去へ記憶のデジタルデータ転送の問題解決方法検討
5.過去へ記憶のデジタルデータ転送
さて、問題はここからでは無いでしょうか?
過去への圧縮データを転送するには、まず物質そのものを過去に送るという方法が必要です。
実は2014年、オランダのチームが100%の精度で量子テレポーテーションを行うことに成功しています。
ただし、量子テレポーテーションとは、2つの粒子間にある「情報の伝達」の事を指し、実際に「物質」がA地点からB地点に移動するわけではないようです。
しかし、仮に誰かがその2つの粒子の1つを「観測」した瞬間に、もう1つの粒子の状態が自動的に確定します。2つの粒子が「量子もつれ」の状態にある以上、”外部からの干渉が無い限り”、その粒子間の距離は数cm先であれ数光年先であれ関係なく情報が伝わるとのことです。
量子もつれとは、量子多体系において現れる、古典確率では説明できない相関やそれに関わる現象を漠然と指す用語として用いられる*7
粒子転送は、この考え方で言えば、場所だけで言えば近い将来実現可能と言えるでしょう。
ただし問題は更に大きなデジタルデータ。ましてや過去に送りたいのです。
シュタインズ・ゲートでは、ジョン・タイターのタイムトラベル理論をほぼほぼ踏襲しています。
ジョン・タイターのタイムマシン原理としてはざっくりいうと、、、
1.マイクロブラックホールを作る
2.マイクロブラックホールに電子を注入。自転させてカー・ブラックホールを生成する
3.カー・ブラックホールの特異点は輪状となり、輪状特異点と変化する。
それを使ってタイムトラベルを実行しています。
輪状特異点は、事象の地平面から露出しているため、以下のようなことが可能になります。
◇作られた特異点を通過できる
事象の地平面から露出しているため、事象の地平面を経由せずに特異点を通過できます。
◇座標空間を特定できる
地球だけでなく、銀河系全ては常に移動しています。その為タイムトラベルを行っても同じところへタイムトラベルしたのでは宇宙空間になってしまう恐れがあります。
ジョン・タイターのタイムマシン原理では、それを防ぐため地球の重力を正確に測定して感知することで、地球の座標空間を特定することが出来ます。
座標空間の特定は、地球であれば緯度と経度、宇宙であれば赤緯と赤経によって特定が可能ですので、ここはプログラムで簡単に作れそうな気がしますね。
一方、シュタインズ・ゲートにおける電話レンジ(仮)の原理はこうです。
1.マイクロブラックホールを電子レンジがSERNのLHC(ラージハドロンコライダー)、42型ブラウン管がリフターの役目を果たすことによってマイクロブラックホールを生成。
2.マイクロブラックホールに電子を注入。自転させてカー・ブラックホールを生成する
3.カー・ブラックホールの特異点は輪状となり、輪状特異点と変化する。
リフター(イオンクラフト)とは、LHCが生成したカー・ブラックホールに電子を送り込み制御するためのもの。
ここまではほぼほぼ同じですが、最後の座標空間に関しては電話レンジ(仮)によるDメール送信によって電子メールアドレスで座標空間を特定、送信を行っています。
その為、どこに居てもその電子メールアドレスが届く携帯電話も持っていればそこへ記憶データを送信できるという設定のようです。
さて、「5」が現実で可能かを考えてみると、正直難しいです。
シュタインズ・ゲート登場するSERNはCERN(Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire)という、スイスのジュネーヴ口外にある素粒子物理学の研究所がモデルとなっています。
実際、CERNはLHC(大型ハドロン衝突型加速器)を地下100メートルの深さにある全長約27kmの円形型巨大トンネルを建設しています。
そして、7兆電子ボルトのエネルギーを持つ2つの陽子同士を光速の99.9999991%まで加速して正面衝突させる実験を行いました。
それにより、そこには無かった新たな複数の粒子を生み出すことが出来ると考えられています。
しかし、これによってミニブラックホールが生成されるのではという懸念から、実験中止の訴訟沙汰になったりしています。
そして、驚くことにCERNの一部の学者はミニブラックホールができれば、重力が次元と次元とを行き来している事の証明になると期待している、とのこと。
これが証明されれば、ひとまずミニブラックホールが生成出来、過去への転送の第一歩となることは間違いないでしょう。
6.過去で記憶のデジタルデータ受信
この問題は、前述した「4」の問題解決アプローチを応用すれば問題無いかと思われます。
ただし、「5」の問題が解決した上での話です。
送信方法をどのようにするのかが決まり次第、受信方法は確定するだろうと言えます。
記憶のデジタルデータを解凍、記憶のデジタルデータをインストールの問題解決方法検討
7.記憶のデジタルデータを解凍
8.記憶のデジタルデータをインストール
最後の二つ。これらの問題については、圧縮するデータの方法によって解が異なるかもしれません。
7zならry
シュタインズ・ゲートでは、ミニブラックホールを用いて記憶データを圧縮していましたが、
その圧縮した大容量データの解凍方法は明示されていません。
そもそもそのままデータを脳に入れても問題無いのかもしれないですし、何かしらの機能が転送装置に備わっているのかもしれません。
明示されていない以上、ここは意外と要検討箇所ということでしょうか。
前段階の工程が明らかにならない限り、ここの解決案はまだまだ先になるでしょうね…。
ただし、体外から電気信号を用いて脳に信号として送る事は可能なようです。
例えば、目の不自由な視覚障碍者に対して、人工的に視覚情報を与えることで視覚を与える研究が現在進んでいます。
しかしながら、あくまでこの電気信号は視覚情報であり、記憶情報を埋め込んだ実績はありません。
その為、これを実現するのは意外と難しいことが判明しました。
記憶情報も、取り出す実験は行われているのですが、記憶情報を埋め込む仕組みはまだ出来ていないようです。
その代わりといってはあれですが、短期記憶(数十秒~数分)を長期記憶(それ以上)に強制変換させる「ブレインチップ」なるものの開発は進んでいるようです。
これにより人類の受験戦争が終結するときがくるかもしれません。
まとめ
終わりに、宇宙はコンピュータの構造と似ていると言われています。
“0”と”1”から出来ているのです。
実は体内もそう。脳の神経細胞と宇宙の構造が似ていることで一時話題になりましたよね。
三段論法ではないですが、こうしてみると発明や理論を導くためには、なんやかんやで自然・宇宙のアイデア無しでは成し得なかったと言えますね。
逆に言えば、人間の考えられる限界が現在分かる限りの科学に基づいたアイデアしか取り入れられず、そういった宇宙の新たな発見をしていくことで新しいアイデアが生み出されると言えます。
それとも、宇宙全体がそもそも仮想現実のような世界でマトリックスのように誰かが作り出した産物なのでしょうか?
何にせよ、宇宙の謎が解けていくことで、最終的にこの世の事象全ての謎を取り除くが出来ると言えます。
人間は知識を得ることで理解力、判断力を上げていきますが、この世事象を全て知った時、いわゆる全知全能の「神」となるのかもしれませんね。
神になれるのは、ディスプレイの前のあなたかもしれません。
最後まで見て頂いて、ありがとうございました。